唇を濡らす冷めない熱
「さっきのアトラクション、かなりスリルがありましたね。私、ああいいうの凄く好きなんです!」
お昼も過ぎて、空腹を感じた私たちは四人そろってフードコートへ。私は軽くサンドイッチを摘まみ梨ヶ瀬さんはスパゲティーをフォークでクルクルと巻いている。
眞杉さんと鷹尾さんは仲良く同じオムライスを頼んでいるのが気になるが。
「そうですね、眞杉さんが乗りたければ後でもう一度一緒に……」
隣で楽しそうに話している眞杉さんと鷹尾さん、もう私たちの存在などすっかり忘れて二人の世界を作っている。今日、私と梨ヶ瀬さんが協力するような事って何かあっただろうか?
もう必要ないのならこのまま帰りたい、そう出来ないのは梨ヶ瀬さんが私から視線をそらさないからだ。
「私を見ている暇があるなら目の前の料理を早く食べてしまったらどうですか? いつまでも待たされるのなら私は先に次のアトラクションに行かせてもらっても……」
「ダメ、次に横井さんと回るアトラクションはもう決めてるし。鷹尾達もそろそろ二人きりにさせてやればいい、もう俺達は必要ないだろうしね」
後半部分には文句ないですが、前半部分にはあんまり賛成したくない。梨ヶ瀬さんが考えていることなんて、どうせろくなことが無いだろうし。
梨ヶ瀬さんはそう言うと昼食を済ませ鷹尾さんに何かを耳打ちすると、立ち上がり私を連れてフードコートを出た。