唇を濡らす冷めない熱
「馬鹿言わないでください! 少しは迷ってみせたらどうなんです、貴方それでも課長なんですか⁉」
理性はどこに置いてきたのか、梨ヶ瀬さんの強引な攻めにあっという間に流されそうになってしまう。熱のある私の方が彼を止めなきゃいけないなんてどうかしてるわ!
「うん、課長だね。でもそれは会社での話で、今の俺は麗奈を前にしたただの男だから」
「そんな、屁理屈……んんっ!」
待ってという言葉さえ言わせてもらえないまま、優しい口付けは再開される。唇の表面を彼の舌が何度も往復して、しつこく口を開けと催促してくる。
まるで度数の高いアルコールみたいだ、私にとっての梨ヶ瀬さんは。
観念して小さく口を開くと、その一瞬さえも逃さずに彼の舌が私の口内へと侵入してくる。発熱しているはずの私に負けず劣らないほど熱いソレに、戸惑いながらも受け入れてしまった。
「ん、ぅむ……んんっ」
すぐに片手を私の後頭部に回して固定すると、強引にキスを深くしてくる梨ヶ瀬さん。こっちは病人だから手加減してくれればいいのに、彼にはそんな気はサラサラないらしい。
告白の返事を待たせて焦らしてしまってることは分かってる、それでも私の口内を遠慮なく暴れまわる梨ヶ瀬さんは野獣のようだと思った。