唇を濡らす冷めない熱
「だから、嘘にして欲しいのならそうしますって……んんっ!」
いきなり頬を両手で挟まれてそのまま唇を奪われる、それもけっこう強引で抵抗する隙を与えないような荒々しい口付け。いつもの梨ヶ瀬さんらしくない、そう思ったけれどその余裕もすぐに無くなった。
「はっ、んっ……っ」
すぐに離れると思っていた唇は私の予想を裏切り、何度も繰り返し重ねられる。息をする暇も与えてくれないキスを何度も落とされ、私はいつの間にか梨ヶ瀬さんにソファーに押し倒される形になっていた。
見上げる彼の瞳は男のものになっていて、目の前の獲物を捕らえるための色気を放っている。私はそんな梨ヶ瀬さんから目を逸らすことも出来なくて……
「それは困るって、俺も言ったでしょ?」
「ひゃあっ!」
耳元でそう囁かれて身体が震える、そこが弱いことを知っていてこの人はこんな事をするのか! だけど反応する身体の所為で、私は目に涙を浮かべて弱弱しく彼を睨むことが精いっぱいで。
それが梨ヶ瀬さんの征服欲を余計に駆り立てるだけだと、気付いた時にはもう遅かった。
「んっ、ちょ……やぁ、んむ……っ!」
片手で顎を固定され、さっきよりも深いキスが始まってしまう。まるで私を食べてしまうのではないかと思うほどの、熱くて淫らな口付けだった。