『伝えたい気持ち。』
*1*
ーピピピピッー
小鳥が朝日を浴びながら、
俺の頭上を空高く飛んでいく…
学ランを着てカバンを持って、
自分の家の前の塀にもたれながら
あいつが来るのを待っているー俺ー
ー木村 湧希(キムラ ユウキ)ー
今日から新学期が始まり
高校2年生になる。
ーバタバタッー
「ハァッ…ハッ…ごっごめんっ」
二階からの階段を
急いで駆け下りてきた凛はハァハァ息が詰まりながら俺の下へ駆け寄ってきた。
新学期早々バタバタと
余裕のないやつだなぁ…
と、思いながら
「はよっ」
と、わざと待ちくたびれて眠そうに言ってやった。
「おっおはよっ!!
ごめんね…待たせちゃって」
と、俺の顔をのぞきこむように見てくる。
…その上目づかいは反則だろっ。
心の中で思いながら、
「さっさと行くぞっ!
遅刻したらお前んせいだかんなっ」
なんて、俺は呆れたような口調で言ってやった。