魔族の王子の進む道
いつまでも…
静かに蒼月が昇る頃、娘と彼は寄り添いながら部屋にいた。

「ライ様、あたし、幸せです!」

それを聞いて彼は、少し悲しげに笑って言った。

「もうお前を、逃してやることは出来ない…。自由の無いこの城の中で、生涯を私と過ごすのだ…。」

どんな辛いことも笑顔で耐え続け、自分の道を探して出て行った弟を思い出した。
この娘もきっと弟のように、自由に生きてこそ。しかし彼女を自分の身勝手で連れてこさせ、気に入り手放せなくなってしまった。

「どうして??たまにみんなのところに行くの、ダメですか??ん〜、ダメならお城の中だけでもいい…!ライ様とずっといられるもの!大好きなライ様が、あたしを花嫁さんにしてくれるって言ったんだもの!すごくすごく、嬉しいです!!」

娘は幸せそうに笑っていた。
自分とはまるで違うこの娘でも、そばにいてくれたら自分も良い方に変わり、良き王になれる気がした。

「…そうだな…お前らしく居られるよう取り図ろう…。」

娘は嬉しそうに彼に言った。

「ライ様、嬉しいです、大好きです!ずっとそばにいたいです!!」

「もちろんだ、どこにもやりはしない…!お前は言っていただろう、身体を重ねるのは、『ずっとそばにいて欲しい』という意味だと…。順番は違ってしまったが、お前の言う通りだった…!」

「ライ様ぁ!!」

娘は彼に強く抱き着いた。

「…きっとお前なら、この私のそばで永久に明るくお前らしくいてくれるだろう…。お前がいれば、きっと奴がいた頃のようにまだ心穏やかにいられる…私もそのためならば……」

彼も娘を抱き締め、誓いの口付けをした……
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