露人くんは狂ってる。
「んじゃ、無事送ったし……俺帰るわ」
私の肩に手を置きポンッと優しく叩くと
踵を返して車の方へ歩き出す部長
「あっ、部長!ありがとうございました!また明日」
車に乗る直前に1度手をヒラヒラと振ると
部長はそのまま乗り込んで走り去って行った。
「許せない」
部長が走り去った後
ふと前からそんな声が聞こえる
パッと前を向くとなんとも言えない
表情をしながら私に近づく露人くん……
「露人くん……?」
「あいつ……俺の愛に気安く触りやがって」
そう言って、さっき部長が触れたところに
今度は露人くんの手が置かれたーーーーー。
「あれは……上司の挨拶みたいなもんだから気にしなくても……」
「嫌だ……例え誰であれ愛に指一本でも触れさせたくない」
ちょっと拗ね気味に言う露人くんからは
微塵も怖さが感じられなかった……。
やっぱり、あの時感じた怖さは
気のせいだったんだな、と
また自分の中で解決させる
むしろ、今の露人くんは
「可愛い」
そう思ったらつい口から
言葉が出てしまっていたーーーーー。