露人くんは狂ってる。



「西嶋、コーヒー入れて」


露人くんのことを考えながら
資料纏めをしていると


コツンと頭に何かが
乗っかる音がした。



「はぁ?どうせ立ってるなら自分で入れたらいいじゃないですか、私は今忙しいんですよ」


「あのなぁ……お前、部長にそんな態度してちゃいつまでも出世できないぞ?」



「出世なんて狙ってないですよ、どうせいずれ結婚するんだし……たぶん。」


「はいはい、いいから入れてこい。部長命令だ」



「この鬼!!」


そんないつも通りの会話を繰り広げながら
しぶしぶ給湯室へ向かうーーーーー



「って、なんでついてくるんですか!?」


「いや、なんとなく」


「はぁ?どうせ来るなら最初から自分で行ってくださいよ!!」



ブツブツと文句を言いながらも
テキパキとコーヒーメーカーの
準備をする自分にすら腹が立つ。


まあな、上司だからな
仕方ないよな、逆らえないもんな!!


「ところで西嶋……今日暇か?」


「はい?」


突然の部長のお誘いに間抜けな声が出る。
なんと言うか……これまた珍しい



「いや、もし暇なら一緒に夕食でもいかないかと思って」


「はぁ……いいですけど?特に予定もないので」


特に断る理由もないので
OKの返事を出すと



部長は今日一の爽やかな笑顔で


「よかった、楽しみにしてるぞ」



私の入れたコーヒーが入ったカップを
片手に給湯室から出ていった……。


え、何あの笑顔……
鬼部長からは想像もできない
爽やかさだった……。


明日雪降るかもって七瀬に伝えとこ……。

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