【短】偽物lovers2 side矢野くん〜本当の恋人になりたかった〜





「…っ」


吉田さんは俺の姿を見て大きく目を見開いていた。


「…どうしたの?」

「俺はずっと吉田さんの想い人を探してた。そいつが俺のライバルだったから。それで吉田さんの気が変わる前にこの都合の良い関係を続けて本当の恋人同士になりたかった」

「…え」


怯えた様子で俺を伺う吉田さんに俺の想いを伝える。
吉田さんを逃さないようにしなければ。


「何言っているの?矢野くんは片岡さんのことが好きなんでしょ?」

「そうだよ。好きだよ。いや好きだった。ずっと好きだと思っていたけど吉田さんと付き合うようになってから気づいたんだ。あれは家族に対する好きだったって」

「…え?」

「親愛と愛は違うでしょ?恋焦がれるような、こんなにも苦しい想いを抱いたのは吉田さんが初めてなんだ」

「え、え、はい?」


困惑する彼女に愛を精一杯伝え、微笑む。





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