中島くんは私を離さない



「ありがとう、奏」



私のせいで奏に嘘をつかせたのが申し訳ない。



「なに手まで握られてたんだよ、ついていきそうな感じしたぞ」
「あっちが勝手に握って来たしついていかないよ、奏を置いて行くわけないじゃん」


「でも男には気をつけろ、それに彼氏がいるって嘘ついてもそっちの方が男は離れるから」
「うん、そうだよね」



本当に彼氏がいないし奏とは友達だから、友達だと言ったけど、こう言う時は嘘でも「彼氏」だと言った方が簡単にナンパから避けられるよね。



少し頭が混乱してたからちゃんと考えられなかった…


「瑠璃は素直だなあ、子供みたい」
「同い年の奏に言われたくない」


「そういうところが子供っぽいんだよ、ナンパされたら断れるか??」
「断るし、嘘でも彼氏だと言うから!!」


「そうだ、そうしとけ」
「もうからかい過ぎ!」


「嘘じゃなかったらいいのにな……」
「大変お待たせしました、花火大会開会式までもう5分前です」



「もうすぐ始まる!」
「そうだな、あ、これタコ焼き温かいうちに食べろよ」



「うん、ありがと!」



明太子ソースがかかっているタコ焼きはめっちゃ美味しい。
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