中島くんは私を離さない



「瑠璃、もう昼過ぎたよお腹空いた」
「あぁ、もう1個乗りたいのにー」



「それは食べてからでいいから、お腹空いたから動けないーー」
「分かった分かった!なにか食べよ!」



「あーんして」
「え?」


「ほら」


口を開けて待っている聖弥。


これは、、、あーんしてほしいサイン……


「ピザをあーんして食べる人いる?」
「ここにいる」



「恥ずかしいからやめよう?」
「今日はデートだし僕のわがまま聞く約束でしょ」



「分かったー、ほらあーん」


ピザを聖弥の口に運ぶと美味しそうに食べている。



こういう顔は本当に子供っぽくて可愛い。



「僕の顔に何かついてる?」
「ううん」


「僕の顔じーっと見てるから」
「なんでもない」


「僕の顔かっこいいって思った?」
「ちーがーう」


なんでそうなる?


というか、かっこいいっていつも思ってる。


事実だから。


恋愛感情抜きで誰が見てもかっこいいと思う顔だから!


「ふーん、はい、あーん」
「ずっとあーんしなきゃいけないの!?」


「うん、今はそういう気分」
「そういう気分って……私食べるひまない」


「僕が食べたら次は僕があーんするから」
「いいから、早く食べて」


「あーんして」


こんなに甘えてくる聖弥は初めて。


というか甘えられるんだ。


ドSの聖弥しか見たことなかったから少し違和感はあるけど甘えられるのも一つの才能だしいいことだとは思うけど、見てる私が恥ずかしくなっちゃうし照れてる自分がいる。


「分かった、私が食べさせるから、ワンちゃん」
「ワンちゃんはやめて」


「私が飼い主で聖弥がイヌみたいだから」
「これ以上バカにしたらここでキス……」


「やめる!ワンちゃん呼びしないから、ほらあーん」
「うん、美味しい!」



聖弥が甘えん坊のワンちゃんにしか見えないのも事実。

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