中島くんは私を離さない
日も落ちて真っ暗な時間。
「もう終わりか……」
本当に楽しかった1日。
楽しい時間こそあっという間に過ぎると言うけれどそれはホント。
先生であることを忘れて、聖弥が生徒であることも忘れて完全にプライベートで楽しめた。
「今日はありがとう」
「僕こそありがとう、楽しかった」
「瑠璃、」
私のスマホの着信音。
奏から。
「今は出ないで」
聖弥が私のスマホを取って着信を消す。
「まだデートは終わってない、瑠璃を家まで送るまでがデートだから、それまで俺と瑠璃との時間でしょ」
「そうだね」
多分奏は、一緒に飲もうと電話したはず。
花火大会以来から週に1回は必ず誘われて飲んでいるから。
だから電話に出ても断るしかないけど、いつも電話に出るのに出ないから怪しまれないことを祈る。
「それじゃ送るよ」