中島くんは私を離さない
さすが里帆、毎日恋愛ドラマ見てるだけ妄想がすごい。
でもそれは妄想なだけで現実味がない。
「1回やってみなよ」
「やるとしても中島くんにやる意味がない」
「どっちなの瑠璃、奏?中島?」
「うーん」
奏は毎日話しているけど恋愛感情よりかは安定している頼れる友人って感情だし、中島くんはまず生徒だし、恋愛感情なんて……
え………
ない、なんて否定できない。
教室で仲良く友達と話してる中島くんの顔を見てしまう私。
昼休みにバスケをしてスリーポイントシュートをきめた中島くんを見てモヤモヤしてた私。
中島くんとデートしてから中島くんを目で追うようになって自分でも自覚をしてて、ただデートで中島くんのことをもっと知れたから気になっているだけだと思っていた。
でもそれは、私が本音を隠すために、
気づかないふりをするための言い訳だった。
私は教師で、中島くんは生徒。
そのラインを超えちゃいけないって思って必死に自分の気持ちを隠してた。
でもとっくに私は自分の気持ちに気づいていた。
先生と生徒のラインがあっても気持ちは誤魔化せない。
「わたし、中島くんが好きみたい……」
「「みたい」ってなによ」
はっきり言おう、もうこのモヤモヤははっきり言葉にしないとスッキリしない。
はっきり言った時点でもう教師としてダメなんだと思う。
それでも変えられないしこれ以上自分を誤魔化せない。
「中島くんのことが、好き……」
「やっと素直になれたね、遅すぎ」