中島くんは私を離さない
いつの間にか泣いてる自分がいる。
ダメなのに…と自分を責めているからか、
里帆にだけでも本音を言えた安心感からかは分からない。
「これからはどうするの?」
「なにも変わらないよ」
「奏にも今まで通り接するの?」
「奏には断る」
奏は友達以上恋人未満。
恋愛感情は抱けない。
申し訳ないけど断るしかない。
「そうだね、中島と付き合えばいいのにー」
「里帆も先生なら分かるでしょ?先生と生徒は禁物!!」
「そうだと分かってても愛は大きいんだよ、それに愛があればなんとか乗り越えられる!」
「バレたらやばいよ!?」
「バレなきゃいいんだよ」
「そんな簡単に…」
「じゃ中島くんへの愛は簡単に諦められるほどの愛?」
「それは……」
中島くんからアタックされたから簡単に堕ちたわけじゃない。
私にだって葛藤はあった。
本当にアタックされてもキスされても気にならなかった。
でも徐々に惹かれていってた。
ドSで完璧に見えるけどどこか弱くて。
でも私より強い。
いつの間にか中島くんを生徒以上の想いで見てしまっていた。
この気持ちは我慢できない。
「諦めることはできない、けど中島くんのために卒業まで待つのも1つの手だと思う」
「それはそうだけど、瑠璃の顔、我慢できない〜!中島くんに今すぐに抱きしめられたい〜!って顔してる」
「いやそんなわけない」
「何年も瑠璃のそばにいるんだから誤魔化しても無駄」
恐れ入ります、里帆様。
大正解です。
もうラインを超えてしまった以上、心を塞ぐことはできないしできることなら今すぐ抱きしめたいし自分の気持ちを話したい。
でも感情のままに動くことができない。
私の教師としての想いが邪魔をする。
「瑠璃」
「うん?」
「ゆっくりでいいからどうすればお互いのためになるのか考えてみて」
「うーん、そうする」
「じゃ、禁酒やめて生ビール飲もうか!気分がスッキリするよ?」
「そうだね、我慢はよくない!」
禁酒は1週間で終わった。