中島くんは私を離さない
意味のない交際
奏と付き合い始めてから3日。
私にとっては付き合ってる気はないけど、噂は早い。
先生だけではなく、生徒にも広まっている。
廊下で生徒とすれ違う度に、
「九条先生と付き合ってるの本当ですか!?」
「お似合い〜!」
なんて言われる。
ただ、愛想笑いでありがとうって言うしかない。
本当は中島くんのことで脅迫されて付き合ってるなんて誰にも言えない。
学校に来ると、生き生きするのに、奏と顔を合わせるって考えるだけで心が苦しくなる。
優しくて、男気があって、気遣いができるいい人だと思っていたのに、それが仮面だとは…
「瑠璃」
「う、うん?」
コーヒーを淹れていると、隣に奏がやってきて、
「今日の夜俺の家に来て」
「な、なんで?」
「なんでって俺ら付き合ってるんだから」
「そ、そうだね、行くよ」
普通なら嬉しいけど、嬉しくない。
付き合ってるけど形だけって感じがする。
「瑠璃、ちょっと!」