中島くんは私を離さない
「卒業おめでとう」
「ありがとう」
この1年間、付き合ってはいなかったけど、たまに電話したりお互いの誕生日にはプレゼントを送ったりして、寂しいと思わなかった。
中島くんは、今春から私立の経営学部に行く。
「卒業できた」
「成績トップなんだよ中島くん」
「え、そうなん?」
「うん、成績会議した時に1位は中島くんだって分かったの」
「それは嬉しい」
「ダブルでおめでとう」
「先生、いや、もう先生じゃないか」
「なに?」
中島くんが、真面目な顔になって私と向き合う。
「もう卒業したし生徒じゃない」
「そうだね」
「付き合ってください」
「こちらこそよろしくお願いします」
「はいこれ」
渡されたのはネックレス。
首につけてくれて、
「似合ってる」
「私が卒業祝いでプレゼントを渡さないといけないのに」
「じゃ、美味しいご飯食べに行こう、お腹空いた」
「分かった、聖弥、行こう!」
「瑠璃、大好きだよ」
「私も」
紆余曲折あったけど、付き合えてよかった。
もうこの手は離さない。
私が中島くんを離さない。