アネモネ
23時半。そろそろ会計をしようと席を立つ。ミカは酔っ払って寝てしまっているから、たつきくんに電話して迎えにきてもらおう。

私はたつきくんに電話した。

「はい、みか?」

「もしもし?たつきくん?わたし心だけど、みか酔っ払ってて、迎えにきてあげてほしいんだけど。」

「ああ、こころちゃんか。ごめん、すぐ行くから、店の名前教えてれない?」

たつきくんに電話して、30分ほどたったころ、彼が店に入ってきた。

「電話ありがとう、よかったら一緒におくって行こうか?」

「ううん、大丈夫!まだ電車あるし」

「そう?じゃあミカ連れて帰るね」

彼は軽々とみかを抱き上げて、出口に向かっていく。しかし、ふと立ち止まって振り返った。
わたしを見つめると、真剣な表情でこう言った。

「たくまの連絡先はもう消したの?」

なんでそんなこと聞くんだろう、そう思ったが、私はうなづいた。


「そっか、まああいつが、悪いし自業自得だよなー。でも、一つだけ言わせてほしい」

「たくま、きみと連絡が取れないってすごい焦った顔で言ってたよ。最近のあいつぼーっとしてたら、顔色わるかったり、こっちが心配になるくらい落ち込んでるからさ、別れるにしてもはっきり直接言ったほうがいいと思う」

驚いた、もう私のことなんて、気にしていないと思ったのに、たくまはどーゆーつもりなんだろう。

「わかった、でももう関わりたくないの、だから
新しい彼女さんに慰めてもらうべきだよ」

私はカバンをとってたつきくんの横を通り過ぎて店を出た。



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