魔法の恋の行方・魔女の媚薬(シリーズ3 グリセラとリーディアン)
<狩猟の館・図書室・11時>

リードは考えていた。
もっとグリセラの不思議な能力を
見たい。
「君には何かやりたい事が、
あるのかな?
僕は君の力になりたいのだが・・」

グリセラはまたうつむいて、
自分の膝に置いた手を見つめていた。
少し緊張している。

「あの・・皇国の歴史を知りたいです。」
リードは、グリセラに向けて笑顔を見せた。
「それなら、僕にも何とかなりそうだ」

使用人ではなく、何とかしてやりたい。
この娘の笑顔を見たい。

よくわからないが、不思議な能力を持っているグリセラの・・
その力が知りたい。

「グリセラ、君の休憩時間はいつ取れる?」

「・・3時から4時半までは
自由にしていいと・・言われています」

狩猟の館では、3時からお茶の時間になる。
使用人たちはその準備が終われば、夕食の支度が始まるまで休憩が
取れるのだ。

「こうしよう。その時間に僕は図書室にいるから、
君の都合がつけば、ここで一緒に勉強をしよう」
グリセラは驚いたように、口に手を当てた。

喜びを、必死に抑えているように見える。
「あ・・りがとうございます」
グリセラは立ち上がると、
丁寧にお辞儀をした。
それから、図書室から走って出て行った。

リードはその背中を見送りながら、次の課題を考えていた。

<チェスとか教えれば、
とてつもなく強くなるのかもしれない>
それにグリセラが、楽しんでくれるのが嬉しい。










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