魔法の恋の行方・魔女の媚薬(シリーズ3 グリセラとリーディアン)
<グスタフ皇国平原・15時20分>

「君の家に比べて、フェンネル家は・・
まぁ、姉上の結婚の準備で、大騒ぎだから、僕としてはこっちに来た方がましというもんだが」
リードはクリスを見た。

クリスは男の目から見ても美しい。不思議な魅力がある。

「フェンネル家は、魔女と関係があるって、聞いたけど・・」
リードが質問した。

魔女の血を持つ男は、美しい容姿をもつと言われる。
しかし、魔力を持つことはない。
混血が進み、グスタフ人と同化している。

「ああ、母方の何代か前の話だけど、娘が惚れて惚れて・・
その相手の男が、絶世の美男子で、
家出をして一緒に暮らしたらしい。

フェンネル家とも、一時は断絶したらしいけど。
その男は、たぶん魔女とグスタフ人の混血の人だったんだろうね。
魔力はなかったと聞いた。
女じゃないと魔力は、発現しないらしい」

リードは馬の鞍を調整しながら、
クリスとよく似た、姉の顔を思い出した。

「君の姉上は、本当にきれいな人だと思うよ」
「でも、魔力はないぜ」
クリスは苦笑した。

「今回の結婚相手は、紋章付き貴族だから親は大喜びだ!」

リードは疑問を口にした。
「クリス、君は魔女と会ったことがあるのか?」

クリスは少し考え込むように
「それはないな。
そもそも魔力って、都市伝説ではないのか?
魔女に出会ったという話を、聞いたことがない」
「そうだな・・・」
 
山から下りてくる一本道を、馬車が走って行く。
狩猟の館に向かうのだろう。

「先生たちより、遅刻するのはまずい!早く行こう!」
リードは馬に飛び乗り言った。

そして、
2頭の馬が、馬車を追いかけるように走って行く。






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