魔法の恋の行方・魔女の媚薬(シリーズ3 グリセラとリーディアン)
<狩猟の館・廊下・13時40分>

「どうぞ、こちらです」
リードが先に歩く。

その後ろを、イーディスとグランビアの当主が続く。
客間の扉を開けようとした時、
イーディスが声をかけた。

「リーディアン殿、私は馬車に忘れ物をしたので取りに行きます。
先に当主を部屋にご案内していただけるかな」

イーディスは当主の手をリードの方に向けた。
「もちろんです。」
リードが答えた、その時だった。

イーディスはいささか強引に、
グランビアの当主の手をリードの腕の絡めた。

「後はうまくやれ・・リード」
「え・・?」

イーディスは開いていた窓から出て行った。
その窓から風が吹き込む。
あの甘く切ない香り・・・だ。

リードの記憶の封印が、風によって破られた。
「グリセラ・・?」

グランビアの当主が、ベールをあげた。
美しい黒髪の魔女だった。
「あなたに・・どうしたも会いたくて・・」

リードを見上げるアメジストの瞳が涙であふれている。
グリセラは立ちすくむリードを抱きしめた。

切なくて・・
こがれる想いはもう止めることはできない。

リードの閉ざされた記憶は、この一瞬で蘇った。

「ああ・・グリセラ・・
もう離さない・・」

リードはグリセラを強く抱きしめ、そしてその首元に顔を埋めた。

甘い・・とろけるような・・陶酔

ふたりの魂が呼びあい、ようやく邂逅した。







                             
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