魔法の恋の行方・魔女の媚薬(シリーズ3 グリセラとリーディアン)
<狩猟の館・応接室・14時30分>

イーディスは、皇帝のいる応接室の扉をノックした。

扉を開けると軽く礼をして、
お茶を飲んでいる皇帝に声をかけた。

「皇帝陛下、当主のご気分がすぐれないので、本日はこれで失礼いたします」

皇帝が窓の外を見ると、
玄関に付けられている馬車に、
グランビアの当主が乗り込もうとしている所だった。

そのそばに、大きな黒い犬が座っている。
「ああ、お大事にと伝えてくれ」

皇帝は、馬車に犬も乗り込んだのに気が付いた。
「あの犬は・・?」
「皇帝陛下、犬ではございません。オオカミです。当主の護衛ですので」
イーディスは深く礼をすると、
部屋から退出した。

イーディスは、玄関のそばに控えている側近に言った。

「リーディアン殿は結婚式の準備ですぐにお帰りになると・・・
伝言されたので皇帝陛下にお伝えください」
そして馬車に乗り込んだ。

狩猟の館の雑木林が、
風で強くしなるように揺れ始め、
馬車が走り出した。

窓から皇帝が、その様子を見て言った。
「風が強くなってきたな。
我々も引き上げよう」

その後、
グスタフ皇国では、リーディアン・レジアが失踪したという
うわさが流れた。

が、
誰もその真相は、わからなかった。

                            おわり
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