魔法の恋の行方・魔女の媚薬(シリーズ3 グリセラとリーディアン)

狩猟の館(翌日)6-9ページ

<狩猟の館・翌日・15時>

生徒たちが狩猟の館に集まってきた。
使用人たちは、トランクを運び込むので忙しい。
生徒はみな、グスタフ皇国の貴族の嫡男だ。

貴族たちは、それぞれ領地を持ち、農地や河川管理、商業、工業など
その土地の特性に応じて経済力をつけていかねばならない。

貴族といえども、実態は経営者なのだ。

貴族の子弟は幼い時は家庭教師について勉強をするが、
15歳になると、高等学校に進学をする。
より高度な知識を習得するために
大学に進学する者も多い。

狩猟の館で開催される
サマースクールは、9月入学の高等学校のプレスクール(補習校)の機能を果たしていた。

家庭教師だけの学習は、進度差が大きいし、
集団生活に向かない、規律を守れない者もいる。

「まったくできていないな」
リードは答案用紙を見て、ため息をついた。

午前中に、基礎的な数学知識を問う試験を行ったが、結果はひどいものであった。

数学は土地測量や設計、商業、経済などでどうしても必要になる。

貴族の領地管理力が落ちれば、
グスタフ皇国の国力も、連動して落ちる。

リードは、特に点数の低い生徒を呼んで、補習をするつもりだった。

数名の生徒が、教室代わりの部屋に集まった。
それぞれが、ばつの悪そうな顔をしている。

リードは問題用紙を配り、指示した。
「この課題をやって、できたら持ってきなさい。確認するから」
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