魔法の恋の行方・魔女の媚薬(シリーズ3 グリセラとリーディアン)

<狩猟の館・16時>

その時
部屋の後部扉が少し開いた。

黒い頭と眼鏡の顔がのぞき・・
グリセラが様子を伺っている。

そして小さい声で
「あの・・リード様・・
掃除にきたのですが・・」

そう言えば、
補習でこの部屋を使うと、管理人に言っておかなかったな。

リードはグリセラを手招きした。
「今すぐには、掃除はできないから君はここで待っていてくれるかな。
管理人には僕から言っておく」

そして後ろの席に座るように
グリセラに指示した。

「君も待っている間、勉強してみるかい?課題をあげよう。
わからなかったら手を上げて、
合図をしてくれればいい」

グリセラはうなずいた。
少しうれしそうに見える。

リードはグリセラの前の机に、
課題用紙とペンを置いた。

部屋は静かで、かすかにペンで書く音がする。
リードは暇つぶしに本を読んでいた。

グリセラは、何か一生懸命書いている。
時折、考え込んでいたようだが、
また書き始めた。
最後に大きくうなずくと、ペンを置いた。

そして
リードの近くまで歩いてきて
「リード様、食事の支度があるので、失礼します。
ありがとうございました」

グリセラは少し頭を下げると、
部屋から出て行った。

補習対象の生徒は出来が悪く、
リードも説明に時間がかかった。

最後の生徒は、ぎりぎり食事に間に合うか、というところまで時間がかかった。

リードは、最後の生徒を部屋から出して、
施錠しようとした時に気が付いた。

一番後ろ・・
グリセラのいた場所に、ペンと用紙が残っている。
<置きっぱなしで戻ったか>

リードは、グリセラの用紙を手に取り、どのくらいできているのか見た。

・・・息を呑んだ。

まさか・・グリセラが・・・
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