魔法の恋の行方・魔女の媚薬(シリーズ3 グリセラとリーディアン)
<バルコニー・20時>

「どうしたんだ?難しい顔をして、何かあったのか?」
クリスがリードに声をかけた。

バルコニーに置いてある椅子に
座り、腕組みをして考え込むようにしている。

「うん・・ちょっと気になることがあって・・」
クリスがリードの前の椅子に
座った。

リードは手に持っていた紙を、
クリスに渡した。

「今日の午後、数学の補習の時に、グリセラが掃除に来たんだ。

待ってもらっている間に、暇つぶしに課題をやらせた・・」
「それが・・何か?」

リードは、クリスの持っている用紙を指さした。
「これは、大学の高等数学の問題なんだ。
グリセラに、間違って僕の大学の
数学課題を渡してしまったんだ」

リードは身をかがめて小声で言った。
「すべて正解だ。僕の書いてあるところまで添削してある。
・・15分ほどで仕上げてしまった・・」

「・・・?」
クリスもさすがに驚いたようで
「グリセラは何者なんだ?」

「イーディス先生の使用人だろう?・・」

リードは周囲を見回し、さらに小声で言った。
「今度、来た時にもう少し難しい
課題をやらせてみる。
実際に解いている所を、確認したい」
クリスも大きくうなずいた。


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