ナチュラルチェリー
プロローグ
私の好きな人は、天然ジゴロだ。
アイドル並みではないが、そこそこイケメンで、女子からの人気もある。
そして何より、なんの考えもなしに女子をときめかせる発言や行動を起こす天然クソたらしなのだ。
だからこそ信じがたい話である。
私みたいに付き合いが長いわけではない女子からしてみたら、あり得ない事なのかもしれない。
彼が、彼女いない歴=年齢の、『童貞』だということが……
--------------------
「よぉ!来夢!2年ぶりだな!相変わらずモテモテリア充生活してるか?」
今日は、高校の同窓会だ。
みんなが久しぶりの再会に浸っている中、高3の時、私と来夢と同じクラスだった男子が来夢に絡んでいた。
「相変わらずってなんだ。俺は昔からそんなモテてねぇ。」
「はいはい。謙虚っぷり変わってねーな。
でも、俺たちも成人なんだし、今日は飲んで下らない話で騒ごーぜっ!」
男子がそういうと、男どもがより一層騒がしくなった。
「下らない話ってなんだよ。」
「ん、あ?そりゃ、下ネタとか女事情とかそういうしょーもねぇことだよ。」
「俺、女子のいる場でそういうのは嫌なんだけど……」
「おいおい、なに童貞臭ぇこといってんだよ!このモテ男がよぉ!」
来夢の反応に男子が茶化しを入れると、まわりから「そーだ!そーだ!」と、茶々が入ってくる。
女子の男子への視線がだんだん冷たいものになっていったが、来夢の一言でその場の全員が凍りつく。
「俺、まだチェリーなんだけど……」
その場にいた全員が、数秒固まっていた。
そう、この男はこういう奴なのだ。
性欲が皆無なわけではない。純粋にそういうことに興味がないのだ。
彼は幼い頃から、アニメや漫画が好きだった。
周りが、スポーツ選手やアイドル、俳優などに興味を持つようになっても、彼の興味の矛先は2次元だった。
彼の誠実さは、アニメや漫画のキャラクターによる影響なのだろう。
また、彼は少女漫画も好きだった。
その影響で彼の理想の恋愛像は、汚れの少ない純愛だった。
そんな超高レアな恋愛を求めている彼に、恋人ができるはずはなく、性的欲求を抱くなんてことが起こるはずないのだ。
ほんとに厄介な男だ。私の幼い頃からの恋心はどうなる。
そんなことを考えていると、
「よし、わかった。今日意識なくなるまで飲んで、誰か持って帰って卒業しようぜ。」
「ふざけんな。」
膠着の解けた男子がいきなりとんでも発言をぶちかましてきやがったが、来夢は素早くつっこんだ。
すると、少し雰囲気が和んだようで、女子たちもクスクスと笑い雑談し始めた。
「来夢くん童貞なんだー、なんかいいかも。」
「あ、私も思った!あのスペックで経験無いとか貴重すぎるでしょ。」
「私、今日攻めてみよっかなぁ〜」
なんてことだ。女子まで来夢のことを狙い始めたではないか。
ここで盗られるわけにはいかない。
私は、もう10年以上も前から来夢のことを思い続けてるんだ。負けてたまるか。
私は焦って来夢の元へ行こうと、彼の方向を向く。
しかし、彼の顔を直視した瞬間、私は思いとどまった。
このまま私が彼の元へ行き、アプローチをしたって他の女子と同じだ。
私が昔馴染みのだからといって、特別な扱いはされることはないだろう。
でも、他の子をお持ち帰りなんてさせたくない。
他の子を彼に近づかせたくない。
いや、させてたまるか。
私は1度冷静になり、彼の攻略法を考えるため、来夢の恋愛歴を振り返ることにした。
私の好きな人は、天然ジゴロだ。
アイドル並みではないが、そこそこイケメンで、女子からの人気もある。
そして何より、なんの考えもなしに女子をときめかせる発言や行動を起こす天然クソたらしなのだ。
だからこそ信じがたい話である。
私みたいに付き合いが長いわけではない女子からしてみたら、あり得ない事なのかもしれない。
彼が、彼女いない歴=年齢の、『童貞』だということが……
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「よぉ!来夢!2年ぶりだな!相変わらずモテモテリア充生活してるか?」
今日は、高校の同窓会だ。
みんなが久しぶりの再会に浸っている中、高3の時、私と来夢と同じクラスだった男子が来夢に絡んでいた。
「相変わらずってなんだ。俺は昔からそんなモテてねぇ。」
「はいはい。謙虚っぷり変わってねーな。
でも、俺たちも成人なんだし、今日は飲んで下らない話で騒ごーぜっ!」
男子がそういうと、男どもがより一層騒がしくなった。
「下らない話ってなんだよ。」
「ん、あ?そりゃ、下ネタとか女事情とかそういうしょーもねぇことだよ。」
「俺、女子のいる場でそういうのは嫌なんだけど……」
「おいおい、なに童貞臭ぇこといってんだよ!このモテ男がよぉ!」
来夢の反応に男子が茶化しを入れると、まわりから「そーだ!そーだ!」と、茶々が入ってくる。
女子の男子への視線がだんだん冷たいものになっていったが、来夢の一言でその場の全員が凍りつく。
「俺、まだチェリーなんだけど……」
その場にいた全員が、数秒固まっていた。
そう、この男はこういう奴なのだ。
性欲が皆無なわけではない。純粋にそういうことに興味がないのだ。
彼は幼い頃から、アニメや漫画が好きだった。
周りが、スポーツ選手やアイドル、俳優などに興味を持つようになっても、彼の興味の矛先は2次元だった。
彼の誠実さは、アニメや漫画のキャラクターによる影響なのだろう。
また、彼は少女漫画も好きだった。
その影響で彼の理想の恋愛像は、汚れの少ない純愛だった。
そんな超高レアな恋愛を求めている彼に、恋人ができるはずはなく、性的欲求を抱くなんてことが起こるはずないのだ。
ほんとに厄介な男だ。私の幼い頃からの恋心はどうなる。
そんなことを考えていると、
「よし、わかった。今日意識なくなるまで飲んで、誰か持って帰って卒業しようぜ。」
「ふざけんな。」
膠着の解けた男子がいきなりとんでも発言をぶちかましてきやがったが、来夢は素早くつっこんだ。
すると、少し雰囲気が和んだようで、女子たちもクスクスと笑い雑談し始めた。
「来夢くん童貞なんだー、なんかいいかも。」
「あ、私も思った!あのスペックで経験無いとか貴重すぎるでしょ。」
「私、今日攻めてみよっかなぁ〜」
なんてことだ。女子まで来夢のことを狙い始めたではないか。
ここで盗られるわけにはいかない。
私は、もう10年以上も前から来夢のことを思い続けてるんだ。負けてたまるか。
私は焦って来夢の元へ行こうと、彼の方向を向く。
しかし、彼の顔を直視した瞬間、私は思いとどまった。
このまま私が彼の元へ行き、アプローチをしたって他の女子と同じだ。
私が昔馴染みのだからといって、特別な扱いはされることはないだろう。
でも、他の子をお持ち帰りなんてさせたくない。
他の子を彼に近づかせたくない。
いや、させてたまるか。
私は1度冷静になり、彼の攻略法を考えるため、来夢の恋愛歴を振り返ることにした。
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