ましゅまろ
「はい!ましゅまろちゃん!」
美月くんがあたしにピンクのジェラートを渡す。
「あ、ありがと・・・。」
「あそこのベンチ座ってたべよー。」
美月くんが指差す方向には木製の古いベンチがあった。
机を挟んでお互いベンチへ座る。
「うわ、あまい!美味しい!」
「・・・・・・ほんと・・・。美味しい・・・。」
口に含まれたジェラートはサッパリしているのに、コクがありなめらかな食感だった。
「アイスと一緒かと思ったのに全然違うね!始めて食べた!」
「うん!美味しいね!」
あたしはもくもくとジェラートを食べ勧めた。
美月くんはそんなあたしをニコニコしながら見ていた。
「ギシギシッ」
座ってるベンチが軋んで音が出た。
「え?」
あたしの声と同時にベンチは音を立てて壊れた。
「ま、ましゅまろちゃん!大丈夫?!」
慌ててベンチを降りあたしのそばにかけよって来た美月くん。
食べていたアイスがあたしの顔にこぼれていた。
「「見てあれ(笑)やばくない?!」」
「「太りすぎだろー(笑)」」
周りからの笑い声が聞こえる。
「・・・・・・・・・・・・。」
「は、ハンカチ!!」
美月くんがあたしにハンカチを渡してくる。
あたしは恥ずかしすぎて立ち上がりその場を走って逃げた。
「ましゅんまろちゃん?!」
美月くんがあたしを呼んだけど、あたしは振り向かなかった。