ましゅまろ

「んで・・・・・・なに?」


ベッドにあぐらをかいている妹と床に正座してるあたし。


「痩せ方・・・・教えてくれる?」

「お姉痩せたいの?」

「・・・・・・・・・。」


素直に「うん」とか「痩せたい」と言えないダメなあたし。


「・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・まぁ、いんじゃない?」

「・・・・・・・・え?」

「綺麗になりたいとかさ、女だったら当たり前になりたいわけだし。」


手元にあるスマホをポチポチ触る妹。


「ただ・・・お姉今のまんまじゃ無理だよ?」

「・・・・覚悟してる。」

「甘いのーしょっぱいものー甘いものーってしてたら一生痩せないよ?」

「わかってる!!!」

「わかってるなら太らない。」


でかい目で睨まれるあたし。思わず逸らしてしまった。


「そう・・・・だね・・・。」

「お姉、自分に甘いからねー。」

「本気出すし!!!ってかなんなのあんた。」

「は?」


自分に甘いとか言われてムキになったあたしは今日初めて言い返した。


「あんただって太ってたじゃん!なんで自分だけ痩せてんのさ!!」

「うち抜く時抜いてるから。」

「・・・・・・抜く?」


抜くってなんだろ。脂肪の話?脂肪って抜けるの?


「・・・・・・何も食べない日を作るんだよ。」

「食べない日?」

「食べすぎたなーって思った次の日とかに何も食べないの。」

「・・・・・・・・・・。」



そっか。食べなきゃ痩せるのか。


エネルギーは消費するわけだし・・・



「ただお姉は運動の方が・・・。」



なんでこんな簡単なこと気づかなかったんだろ。

妹が何か話してるけどなにも頭に入ってこない。


食べる=太る

食べない=痩せる


当たり前だけど分かったこと。

いくら痩せにくいあたしでも

食べなきゃ痩せるんだ。


「あんた天才だね」

「・・・・・・・え?」

「教えてくれてありがとう!あたし頑張る!」

「今からタンパク質について話そうかなって思ってたんだけど・・・。」

「え?!もういいよ!よくわかった!」


あたしはまだ話したりでなさそうな妹を部屋から追い出した。

どのくらい食べなきゃ減るんだろ。

そんな事を考えながらニヤニヤしてた。

これで痩せれば、美月くんの隣を歩いてても

誰にも笑われない。

すっとした身体で隣を歩くんだ。


それから、あたしの間違ったダイエットは始まった。



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