あなたのためには泣きません
営業部フロアでエレベーターを降りると、部署の入り口がなんだか賑やかだ。
なんだろ?やけに女性が多いような気がする。
近づくと聞こえてきた、女性達の会話
「ほらほら!佐川さん、髪型変わってる!」
「えー!色明るくしたのかな?パーマも入ってるよね?すっごいかっこいい!」
ああ。なるほど。
「おはようございます。ごめんね、ちょっと通してね」
そう言いながら彼女たちの横を通り過ぎようとすると。
「あ!那智さん!おはようございます!みてみて!佐川さん、髪型かわってるのー!」
と私の腕を捕まえたのは、総務部の後輩優菜(ゆうな)ちゃんだ。
「そ、そうなの?」
私は言われるがままにフロア内を見てみると、女性達の視線を集めている先に、二人の男性がいた。
営業部のエース佐川尊(たける)さんと、同期の市井修一郎(しゅういちろう)さんだ。
同期入社の二人は私の4年先輩。
営業成績の良さもさることながら、容姿の素晴らしさが二人を部署を問わず有名人にしている。
佐川さんは割と無口で、マイペース。整い過ぎた顔立ちが、少しとっつきにくい印象がある。
市井さんは人あたりの良さと柔らかい雰囲気で癒し系。
だ、そうだ。あくまでも優菜ちゃん情報ですが。
正反対な2人だけれど、ただの同期なだけではなく、幼稚舎から大学での幼馴染だそうで、とても仲が良い。
2人が揃って商談している様子をこっそりスマホで撮影している子がいるらしい。
(なんのために??)
これも優菜ちゃん情報。というか優菜ちゃん本人か?
「髪型、、、、かわってる?」
改めて佐川さんを見てみたけれど、私にはさっぱりわからなかった。
スマホ画面をなにやら難しい顔で眺めている彼の頭を見たけれど、先週もあんなんだったような気がする。
私の反応に、優菜ちゃんが膝から崩れ落ちた。
「もう!那智さん!しっかりしてくださいよ!同じ部署にあんなイケメンが2人もいるのに、どこ見てるんですか!」
と怒られる。
ど、どこって、言われても。
私は言葉に詰まった。
たしかに、お2人はかっこいいし、頼りになる。
素晴らしい先輩だけど、もはや出来過ぎていて雲の上の存在と言うか、身近に感じられないんだもの。
でも、山中さんの事なら、小さな変化にも気がつく。
髪が伸びたなとか、新しいネクタイだなとか、少し痩せたな、とか。
つまり、恋してるかどうかがきめてなんだな。
「はぁ、那智さんがうらやましい。あの二人をこんな近くで見られるなんて」
「よかったら、私の席に座っていきなよ。」
私の席は市井さんの斜め向かいなのだ。
営業職なのでデスクにいる時間は短いけれど、顔はよく見えると思う。
「もう。本当に那智さんって天然。そんなんだから、いつまでも山中さんに片想いなんですよ!」
そのセリフに、今度は私が膝から崩れ落ちた。
なんだろ?やけに女性が多いような気がする。
近づくと聞こえてきた、女性達の会話
「ほらほら!佐川さん、髪型変わってる!」
「えー!色明るくしたのかな?パーマも入ってるよね?すっごいかっこいい!」
ああ。なるほど。
「おはようございます。ごめんね、ちょっと通してね」
そう言いながら彼女たちの横を通り過ぎようとすると。
「あ!那智さん!おはようございます!みてみて!佐川さん、髪型かわってるのー!」
と私の腕を捕まえたのは、総務部の後輩優菜(ゆうな)ちゃんだ。
「そ、そうなの?」
私は言われるがままにフロア内を見てみると、女性達の視線を集めている先に、二人の男性がいた。
営業部のエース佐川尊(たける)さんと、同期の市井修一郎(しゅういちろう)さんだ。
同期入社の二人は私の4年先輩。
営業成績の良さもさることながら、容姿の素晴らしさが二人を部署を問わず有名人にしている。
佐川さんは割と無口で、マイペース。整い過ぎた顔立ちが、少しとっつきにくい印象がある。
市井さんは人あたりの良さと柔らかい雰囲気で癒し系。
だ、そうだ。あくまでも優菜ちゃん情報ですが。
正反対な2人だけれど、ただの同期なだけではなく、幼稚舎から大学での幼馴染だそうで、とても仲が良い。
2人が揃って商談している様子をこっそりスマホで撮影している子がいるらしい。
(なんのために??)
これも優菜ちゃん情報。というか優菜ちゃん本人か?
「髪型、、、、かわってる?」
改めて佐川さんを見てみたけれど、私にはさっぱりわからなかった。
スマホ画面をなにやら難しい顔で眺めている彼の頭を見たけれど、先週もあんなんだったような気がする。
私の反応に、優菜ちゃんが膝から崩れ落ちた。
「もう!那智さん!しっかりしてくださいよ!同じ部署にあんなイケメンが2人もいるのに、どこ見てるんですか!」
と怒られる。
ど、どこって、言われても。
私は言葉に詰まった。
たしかに、お2人はかっこいいし、頼りになる。
素晴らしい先輩だけど、もはや出来過ぎていて雲の上の存在と言うか、身近に感じられないんだもの。
でも、山中さんの事なら、小さな変化にも気がつく。
髪が伸びたなとか、新しいネクタイだなとか、少し痩せたな、とか。
つまり、恋してるかどうかがきめてなんだな。
「はぁ、那智さんがうらやましい。あの二人をこんな近くで見られるなんて」
「よかったら、私の席に座っていきなよ。」
私の席は市井さんの斜め向かいなのだ。
営業職なのでデスクにいる時間は短いけれど、顔はよく見えると思う。
「もう。本当に那智さんって天然。そんなんだから、いつまでも山中さんに片想いなんですよ!」
そのセリフに、今度は私が膝から崩れ落ちた。