あなたのためには泣きません
「離してください!困ります!」
いつの間にか、泣いている私の周りに学生グループが集まり、騒ぎ始めてしまった。
酔っているのか、いないのか、まとわりついて離れない。
さすがの涙も引っ込み、あれこれ言うけれど、彼らは聞く耳もたず、私の腕をとろうとする。
道行く人はチラチラとこちらを見るものの、誰も彼らを止めてくれそうにない。
と
「おー、こんなとこにいた。おまえ、何してんの?」
と突然男の人の声がして、私と腕をつかむ学生の間に強引に割って入る。
その人は私をつかんでいた腕を外させると
「悪いね。うちの社員なんだ。仕事でヘマして、落ち込んでんの。心配しないで」
と言う。
誰?この人。
後ろ姿しか見えないので、私にははっきりとわからなかった。
「こんな子どもみたいなのより、もっといいの紹介してやるよ。お前らが大人になったら」
と大変失礼なことを満面の笑顔で言うのは、、、、
佐川さん!?
イケメンである効力は女子にのみ発揮されるわけではないらしい。
学生たちは「頼みますよー」とか言いながらすんなりと離れていった。
私は茫然としながら
「佐川さん??ですか??」
「だよ。おまえ、何してんの?こんなとこで、そんなぶさいくな泣き顔で」
と、非道なことをいう。
「なっ、、、!」
失礼だと言い返そうとした時、近くのカフェから市井さんが出てきた
「おい!尊!どこ行ってって、、、、滝沢さん?」
「市井さん、、、、?」
別におかしいことはないのだ。会社の最寄り駅のロータリーで、彼らがお茶を飲んでいることくらい。おかしいのは、その近くで号泣していた私の方だ。
ふと我に返り
「ご、ごめんなさい!ありがとうございます!なんでもありません!」
とあわててベンチから立ち上がる。
「滝沢さん、泣いてるの?」
市井さんが心配そうな声で尋ねてくれる。
「いいえ!目にごみが入っただけで!大丈夫です!」
そういったはみたけれど、彼らが信じていないのは丸わかりだった。
「あの、私会社にかえり、、、」
と言いかけた時、
「修一郎、会社に直帰連絡しといて。俺とついでに滝沢の。
それから、今日のコンパ俺欠席。適当にいいわけしといて。」
と言いながら、私の腕を引いて歩きだす。
な!?なになになに!?
私はわけがわからないまま、佐川さんに引きずられるように改札へ逆戻りした。
「あのっ!?」
「おまえ、その泣きはらした顔で会社もどる気?」
私の顔はそんなにひどいのだろうか。
「何があったか知らねぇけど。今日はもう帰れ。近くまで送ってやるから。」
と言いながら改札を越えてしまう。
「え!?そんな!いいです!いらないです!一人で帰れます!」
と、腕を払いながら立ち止まる。
改札周りの人がこちらを注目しているけれど、それは多分、佐川さんの容姿のせいだろう。
こんな人と歩いていたら、泣きながら歩くより目立つ!
「あのさ」
私に向き直り、腕を組むと忌々しそうに眉を寄せて
「そんな隙だらけのほうけた顔しながら夜道歩いてたら、ろくなもん寄ってこないぞ。さっきみたいな。」
そう言われてしまうと、助けてもらった手前、言い返せない。
「それに、俺も嘘じゃない言い訳が必要なんだよ。」
とよく分からない言い訳付け加えて、先に改札をくぐってしまった。
「で?何駅まで?」
私はあきらめて、このとても目立つ先輩とともに電車に乗ることにした。
いつの間にか、泣いている私の周りに学生グループが集まり、騒ぎ始めてしまった。
酔っているのか、いないのか、まとわりついて離れない。
さすがの涙も引っ込み、あれこれ言うけれど、彼らは聞く耳もたず、私の腕をとろうとする。
道行く人はチラチラとこちらを見るものの、誰も彼らを止めてくれそうにない。
と
「おー、こんなとこにいた。おまえ、何してんの?」
と突然男の人の声がして、私と腕をつかむ学生の間に強引に割って入る。
その人は私をつかんでいた腕を外させると
「悪いね。うちの社員なんだ。仕事でヘマして、落ち込んでんの。心配しないで」
と言う。
誰?この人。
後ろ姿しか見えないので、私にははっきりとわからなかった。
「こんな子どもみたいなのより、もっといいの紹介してやるよ。お前らが大人になったら」
と大変失礼なことを満面の笑顔で言うのは、、、、
佐川さん!?
イケメンである効力は女子にのみ発揮されるわけではないらしい。
学生たちは「頼みますよー」とか言いながらすんなりと離れていった。
私は茫然としながら
「佐川さん??ですか??」
「だよ。おまえ、何してんの?こんなとこで、そんなぶさいくな泣き顔で」
と、非道なことをいう。
「なっ、、、!」
失礼だと言い返そうとした時、近くのカフェから市井さんが出てきた
「おい!尊!どこ行ってって、、、、滝沢さん?」
「市井さん、、、、?」
別におかしいことはないのだ。会社の最寄り駅のロータリーで、彼らがお茶を飲んでいることくらい。おかしいのは、その近くで号泣していた私の方だ。
ふと我に返り
「ご、ごめんなさい!ありがとうございます!なんでもありません!」
とあわててベンチから立ち上がる。
「滝沢さん、泣いてるの?」
市井さんが心配そうな声で尋ねてくれる。
「いいえ!目にごみが入っただけで!大丈夫です!」
そういったはみたけれど、彼らが信じていないのは丸わかりだった。
「あの、私会社にかえり、、、」
と言いかけた時、
「修一郎、会社に直帰連絡しといて。俺とついでに滝沢の。
それから、今日のコンパ俺欠席。適当にいいわけしといて。」
と言いながら、私の腕を引いて歩きだす。
な!?なになになに!?
私はわけがわからないまま、佐川さんに引きずられるように改札へ逆戻りした。
「あのっ!?」
「おまえ、その泣きはらした顔で会社もどる気?」
私の顔はそんなにひどいのだろうか。
「何があったか知らねぇけど。今日はもう帰れ。近くまで送ってやるから。」
と言いながら改札を越えてしまう。
「え!?そんな!いいです!いらないです!一人で帰れます!」
と、腕を払いながら立ち止まる。
改札周りの人がこちらを注目しているけれど、それは多分、佐川さんの容姿のせいだろう。
こんな人と歩いていたら、泣きながら歩くより目立つ!
「あのさ」
私に向き直り、腕を組むと忌々しそうに眉を寄せて
「そんな隙だらけのほうけた顔しながら夜道歩いてたら、ろくなもん寄ってこないぞ。さっきみたいな。」
そう言われてしまうと、助けてもらった手前、言い返せない。
「それに、俺も嘘じゃない言い訳が必要なんだよ。」
とよく分からない言い訳付け加えて、先に改札をくぐってしまった。
「で?何駅まで?」
私はあきらめて、このとても目立つ先輩とともに電車に乗ることにした。