彼とのケンカは夕暮れ時に。
この日もよく晴れた日の放課後だった。

「ね…別れよ…」

数日後、私から彼に別れを切り出した。彼は苦笑して言った。

「…ま、そうなると思った……わかった。」

思ってたんだ…

私はなんとも言えない気持ちになった。

「安心しろ、去るものは追わずだ。」

「…。」

そんな一言で片付くんだ、私達の仲って……

「バイバイ…。二人とも来年卒業で、良かったね。」

「そうだな。」

「…。」

全く彼の表情は崩れない。苦笑いのまま。

私はもう、彼の顔は見られなかった。
すぐに背中を向けて早歩きで、今度は私から立ち去った。

あの、川原の遊歩道が途切れた橋のところまで…

彼は追いかけては来ない。

毎日帰りに二人で見ていた夕日。今は私一人。

「たくさん…考えたのに……一生懸命…私……」

なのに彼は、いとも簡単に絆を切った。

涙が零れた。周りが暗くなってきたのをいいことに、一人で声を押し殺して泣いた。

自分でもどうしたかったのか分からない。

最初はそばで、頑張る私を見ていてほしかった。でも、彼にはそれが耐えられなかった。

彼はそれなら距離を取ろうと言った。私はそれが嫌だった。

だから私は別れを…でも今はそれが叶ったのに悲しくて泣いて…

周りはもうだいぶ暗い。星明りだけ。
道沿いにランニングしていた人たちももういない。

夕方に出始める星を見ながら、彼と家に帰るのは好きだった。
時間がかかっても、ゆっくり二人で歩いて喋りながら……

…でも、もう……

そんな、秋の夕方のこと…
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