浮気 × 浮気


「…………っ」


喉がきゅっと締められているかのような錯覚に陥った。


「なんていうかさ、本命になれない顔的な?遊ばれて最後は捨て」



________バチンッ……



自分が何をしてしまったのか、それを理解したのは、彼女の頬を思い切り叩いてしまった後だった。



「……った、」


赤くなった頬を右手で抑えながら、まるで何をされたのか理解出来ていないような表情を浮かべている。


ごめんなさい、本当はそうやってすぐに謝るべきなのだろう。

だけど、私にはその言葉は発せなかった。
……いや、発したくなかった。


私はすぐさま立ち上がると、一目散に部屋を飛び出した。


カラフルなスポットライトが暗闇を乱雑に照らす中、私は無我夢中に人混みをかき分けながら出口へひたすら足を走らせた。


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