浮気 × 浮気
横目で明里がちゃんと見ているかどうか確認する。そうすれば酷く歪んだ表情をした明里が目に入って、私の心は歓喜でいっぱいになった。
私たちに背を向け、走り去っていく明里の後ろ姿を見つめながら、私はただひたすら喜びにひたっていた。
「……やめろ!」
そう言って思い切り突き放され、私は背後の壁に背中を打ち付けた。
「……ったぁ〜」
だけど、その痛みは私にとってすれば痛くも痒くもない。
「何が目的なんだ、なんなんだよ!」
そう言って私に怒鳴り声を浴びせる秋本陸にニヤリと笑う。
「秘密だよ明里には全部。話したら、……この前見せたあの写真、会社に撒き散らすから」
私はそう言い放つと、秋本陸をその場に残したまま、トイレへと足を進めた。
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《山下 雪side END》