浮気 × 浮気
孕む嘘
息が、息が上手くできない。
今まで、私どうやって呼吸してた……?
あまりの息苦しさに私は胸を抑えながら、必死に動かしていた足を止めた。
そうすれば、浮かんでくるのは陸と雪のキス。
それを振り払うように頭を激しく左右に振るけれど、その情景は消えていくばかりか、私の中で濃く染み付いて、何度も何度も私の胸を締め付けた。
あの日……陸は雪と会っていた…?
あの電話の音声も、陸と雪のものだったの?
……陸の浮気相手は、雪、なの……?
分かりたくもない現実に、目の前が真っ暗になる。
矢先、〝消えてしまいたい〟そんな感情が一気に私を支配した。
目に映る全てのものがぼやけて、そして歪んで見える。頬を生温い液体が伝っているのをただ呆然と感じた。