浮気 × 浮気
膝の上で握られていた拳が震える。
「なんで……なんで邪魔するの…。私のこと好きなんだったら言う事くらい聞いてよ!」
木嶋さんの腕の中で、そう叫ぶようにしていう雪を木嶋さんはただずっと黙ったまま抱きしめていた。
けれどその直後、雪が木嶋さんを突き放し、私の方へ赤い目を向けた。
「…明里驚いてるでしょ?私と暁がどういう仲なのか気になってるんでしょ?」
私の唖然とした表情に勝ち誇った笑みを浮かべる雪に私はただ黙り込んだ。
「不思議だと思わない?どうして暁が明里の家を知ってるか」
私は雪の言葉に思わず木嶋さんの方へ視線をやった。……けれど、一瞬合ったはずの視線はふっと斜め下へとぎこちない表情で逸らされる。
「記念日の日、暁と明里が会ったのは偶然じゃないんだよ?私が明里の家を教えて後をつけて行くように指示したの。……それに、この会社に来たのだって私の」
「……やめて!!!!」
私は雪の言葉を遮り、そう叫んだ。