浮気 × 浮気
淡々と言葉を述べる雪にフツフツと怒りが沸き上がる。
明里さんを傷つけ、気を動転させたのは俺たちだ。俺たちにだって非があるだろ。
俺は雪をキツく睨みつけた。
「……俺は、明里さんが本気で好きだ」
「……っ」
俺の言葉に呆然とした表情を浮かべる雪を1人残したまま、その場を去ろうと背を向けた矢先、不意に腕を掴まれる。
「じゃあ…どうしてあの時何も反論してこなかったのよ」
「…それは、」
「否定も肯定もしなかったくせに?私の口を防ごうともしなかったくせに?」
「それは!……本当のことだったから、何も…言えなかった」
俺は拳を爪が食い込むほど強く握りしめた。