浮気 × 浮気
確かに…思い出してみれば、そんなことも言ってたな〜なんて思う。
だけど今はなんの問題もないし、最近痛いと思ったことは全くと言っていいほどない。
「もう完璧に治ったみたい!頭も体も元気だよ〜!」
そう言ってガッツポーズして見せると、陸は安堵の表情を浮かべた。
そうこうしているうちに会社に着き、私は陸にわざわざごめんね、と軽く手を振った。
そして陸に背を向ける。けれど……私は陸に腕を掴まれ、歩みを止められた。
反射的に陸の方へと振り返ると、ぎこちない表情を浮かべた陸が私を見ていて、首を傾げる。
「あぁ、えっと、言ってなかったかもしれないけど、俺、明里の会社に出向中なんだよ」
「……え?あ、そうだったの?」
もっと早く言ってよ〜と肩をバシバシと叩けば、陸はまるで無理やり口角を上げるかのようにして笑った。
そんな陸に少しの違和感を感じながらも、私は陸と一緒にオフィスルームへと向かったのだった。