浮気 × 浮気
…………けれど、
「そう言えば、私たちって6年目の記念日の日まだ何も祝えてなくない?」
「え?」
「私、その日の記憶が全くなくってさぁ。だからもしかしたら、私たち忘れちゃってたんじゃないかって思って…」
そう言って眉を顰める明里に多少の違和感を感じながらも、俺は口は開いた。
「いやだからその日は、」
だが、俺はそこまで言いかけてハッとした。
明里はもしかして……。
俺は疑心暗鬼のまま、そっと口を開いた。
「木嶋…木嶋暁って知ってるか?」
「……えぇと?ごめん、陸の友達だっけ?」
そう言って頬をポリポリ掻く明里を見て、俺は悟った。
明里は1部の記憶を忘れている、と……。