浮気 × 浮気


…………けれど、


「そう言えば、私たちって6年目の記念日の日まだ何も祝えてなくない?」

「え?」

「私、その日の記憶が全くなくってさぁ。だからもしかしたら、私たち忘れちゃってたんじゃないかって思って…」


そう言って眉を顰める明里に多少の違和感を感じながらも、俺は口は開いた。


「いやだからその日は、」


だが、俺はそこまで言いかけてハッとした。
明里はもしかして……。

俺は疑心暗鬼のまま、そっと口を開いた。


「木嶋…木嶋暁って知ってるか?」

「……えぇと?ごめん、陸の友達だっけ?」


そう言って頬をポリポリ掻く明里を見て、俺は悟った。

明里は1部の記憶を忘れている、と……。

< 152 / 236 >

この作品をシェア

pagetop