浮気 × 浮気


俺は不謹慎にも“よかった”なんて思ってしまった。

何も知らない明里、ただ俺を好きでいてくれている明里、木嶋暁を知らない明里……そんな明里が戻ってきたことが嬉しかったからだ。

このまま明里が記憶を取り戻さないでいて欲しい、とまでも思った。何も知らないまま、俺のそばにいて欲しい、と。

…………木嶋の事を思い出さないで、と。


そんなことを思ってしまう程に俺は自己中だったのかと思うのと同時に、消える事のない罪悪感が俺の心に大きなしこりを作ったのだった。

.
.
.
《秋本 陸side END》

< 154 / 236 >

この作品をシェア

pagetop