浮気 × 浮気

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一日の業務をなんとかこなし終えた私は、帰る支度をし、会社を出た。


携帯を取りだして携帯画面を確認すると、陸から連絡が入っていたことに気づき、トーク画面を開く。


『ごめん。少し遅れる』

というメッセージにわかったとだけ返信を入れた私は、待ち合わせ場所へと先に向かい、待っていることにした。


…………そして、待つこと約1時間。

陸からは一切連絡もなく、来る気配もない。


と、その時。

ぽつ、ぽつ、とまばらに地面にシミが出来たかと思えば、急に大粒の雫がバーッと降り出してきた。

焦った私は、咄嗟に今朝鞄に入れたはずの折り畳み傘を取り出そうとガサガサと鞄を漁る。


けれど…………


「うそ………」


折り畳み傘が見当たらないのだ。


確か入れたはずなのに……。
そう思い、今朝の自分を必死に思い起こす。


と、そこでハッとする。

折り畳み傘を用意しなきゃと思ったら時間がギリギリな事に気づいて、焦ってすっかり忘れていたんだと。


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