浮気 × 浮気
濡れた髪
❁❀✿✾
お姫様抱っこされたまま木嶋さんに連れてこられたのは、つい昨日陸と訪れたビルのBARの様な居酒屋。
「え何アンタ…シャワーでも浴びたわけ…?」
居酒屋に着くや否や、昨日の女性店員さんが唖然した表情で私をじっと見た後、そう言い放った。
「ちょっと雨で…」
なんて言って笑って誤魔化しては見るものの、相変わらず顔にドン引きと書いてある。
「優愛、タオル持ってきて」
木嶋さんは女性店員さん…優愛さんにそう言うと、私を近くのカウンター席へと座らせた。
そしてその場にしゃがみ込んだ木嶋さんは、濡れてビショビョになってしまった靴を脱がそうと私の足にそっと手を添える。
「ごめんなさい、お店なのに」
「気にしないでください。どうせ空いてますから」
そう俯いたまま、冷たく返される。
雨で濡れてしまった前髪の隙間から、木嶋さんの端正な顔立ちが覗く。
どこか懐かしさを感じたその光景に、私は思わず木嶋さんの髪へ手を伸ばした。
……すると、木嶋さんの動きがピタリと止まる。
「木嶋さんこそずぶ濡れです」
私は木嶋さんの頭の水気を払おうとして、まるで頭を撫でるように手を動かした。
しかしその瞬間、木嶋さんの骨ばった大きな手が私のその腕を掴んだ。
お姫様抱っこされたまま木嶋さんに連れてこられたのは、つい昨日陸と訪れたビルのBARの様な居酒屋。
「え何アンタ…シャワーでも浴びたわけ…?」
居酒屋に着くや否や、昨日の女性店員さんが唖然した表情で私をじっと見た後、そう言い放った。
「ちょっと雨で…」
なんて言って笑って誤魔化しては見るものの、相変わらず顔にドン引きと書いてある。
「優愛、タオル持ってきて」
木嶋さんは女性店員さん…優愛さんにそう言うと、私を近くのカウンター席へと座らせた。
そしてその場にしゃがみ込んだ木嶋さんは、濡れてビショビョになってしまった靴を脱がそうと私の足にそっと手を添える。
「ごめんなさい、お店なのに」
「気にしないでください。どうせ空いてますから」
そう俯いたまま、冷たく返される。
雨で濡れてしまった前髪の隙間から、木嶋さんの端正な顔立ちが覗く。
どこか懐かしさを感じたその光景に、私は思わず木嶋さんの髪へ手を伸ばした。
……すると、木嶋さんの動きがピタリと止まる。
「木嶋さんこそずぶ濡れです」
私は木嶋さんの頭の水気を払おうとして、まるで頭を撫でるように手を動かした。
しかしその瞬間、木嶋さんの骨ばった大きな手が私のその腕を掴んだ。