浮気 × 浮気
また地雷踏んだ……と自分を責めていると、優愛さんは急に「暁ってさー」と何かを思い出すような口振りで言葉を紡ぎ始めた。
「ああ見えて昔は結構荒れてて、かなりグレてたらしいんだよね」
「あの、木嶋さんが…?」
驚きの過去に私は思わずそう聞き返すと、優愛さんは初めて私の前で柔らかく微笑んだ。
「私も聞いた時は驚いたよ。だって、どう考えても好青年に見えるしね〜」
優愛さんは木嶋さんを本当に大切に思っているのだろう。表情を見れば、それが一目瞭然だった。
「でね、そんなグレてた暁を見捨てずに、ずっと傍にいてくれてた幼なじみの事が好きだったらしくて、自分を犠牲にしてでも助けたい〜とか言い出してさ。」
徐々に険しくなっていく優愛さんの顔つきに私はただ口を閉ざしたまま、聞く耳だけを立てていた。
「でもその幼なじみが相当なヤバ人で、色々思い詰めてきてる暁を見てた矢先に、クラブに変な女を連れ込んでくるんもんだから…」
ため息混じりにそう言いながら、優愛さんはちらりと私を見た後、「めっちゃ最低な事その女に言っちゃたんだよね〜」と目尻を落とした。