浮気 × 浮気
そんな陸に、私は間髪を入れず言葉を放った。
「何もないに決まってるでしょ?」
けれど私がそう言った瞬間、陸は鼻で笑ったあと、私の方へ体を向けた。
「見たんだ、昨日木嶋暁と一緒にいるところ」
「……え?」
「抱き上げられてどこに行ったんだ?アイツの家にでも行ったのか?」
私を見る目は酷く冷たくて、涙が滲んでいた。
「見てた…って、どういう事?あの時、近くにいたの?」
私の問いには答えず、陸はただ私を鋭い眼差しで見つめている。
「いたなら声をかけてくれたら良かったじゃない!私、あそこでずっと」
「かけれなかった」
私の言葉を遮るようにして、陸はそう大きく言葉を発した。
「どうして?」