浮気 × 浮気


「私、陸が浮気してるって知った時、すごく苦しくて腹が立って…もう、どうしようも無い気持ちだった、」

「……うん」


初めて伝える気持ちに、少しだけ緊張してしまう。喉で言葉がつっかえそうになりながらも、私は何とか唇を動かした。


「だから…陸にやり返してやろうって、私と同じ辛い思いをさせてやろうって思って、木嶋さんに浮気して欲しいって私が頼んだの」


陸は何も言わず、私の話を聞いてくれている。だけど、相変わらず私の手を握る力は強くて、少しだけ汗ばんでいた。


「初めは……本当にただの契約のつもりで木嶋さんといて、だけど、いつも木嶋さんは助けてくれて……」


上手く言葉にならない。自分自身をこうして振り返って見るのは初めてで、今になって初めて私の本当の気持ちに気がつく。

視界が歪んで、肩が震えた。

なんでだろう、なんでこんなにも胸が痛むのだろうか。

続く言葉が喉に突っ変えて、出そうにない。

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