浮気 × 浮気
「…はい」
急に目の前に差し出されたハンカチに、思わず秋本くんの方へ視線を上げる。
「なん、…なのっ」
「傷くらい、ふたりで舐めあおうよ?」
そう言って、懐かしいあの笑顔を私に向かって浮かべた。
「…………っ」
胸が苦しくて、痛くて堪らない。
「ごめ、……なさい…ごめんなさい……っ」
溢れ出る涙と、溢れ出る後悔。
公衆の前で情けなく泣きわめく私を、秋本くんは隣に座ってずっと慰めていてくれていた。
私のせいで、明里と別れることになったくせに……。本当に変わらずお人好しな人だ。
隣で背中を撫でてくれる秋本くんの優しく暖かい掌に、私は肩を揺らしながら涙を零した。
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《山下 雪side END》