浮気 × 浮気
「久しぶりだね、明里」
あんな事があっても尚、雪は平気な顔で私に笑いかけられるんだと呆れてしまう。
「私、雪とは話すことないから」
私はそう冷たく言い放つと、雪に再び背を向けた。
……けれど、不意に手首に力を込められ、行く足を阻まれる。
「なに?」
顔だけ雪の方へやってそう言い投げれば、そこには見たことも無い表情をした雪が私を見ていた。
「お願い、少しだけ時間をちょうだい」
私を見る目はとても必死で、それでいて真っ直ぐ。まるで揺るぎがない。
私はその雪の目線から逃げることが出来ず、気づけば雪と一緒にテーブルを囲んでいた。
「なんだか、久しぶりだね」
雪が小さく呟く。
「そうだね」
ぎこちないながらもそう返せば、雪はカランと水が入っているコップを揺らした。