浮気 × 浮気
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ーーーかなり長い時間、眠ってしまっていたのだろう。


時計も携帯もないから今が何時なのかは全く分からないけれど、窓の外は真っ暗だから、もうきっと遅い時間なのだろう。


ボツボツと屋根に無数の雫が当たる音が部屋中に響いて、ザアザアと窓を叩きつける音もする。こんな日に限って雨なんて。


「はぁ」


木嶋さん…大雨だしもう帰っちゃったかな。怪我とかしてないかな、大丈夫かな。


そんなことを思いながら、埃っぽさにやられたのであろうイガイガした喉を軽く鳴らした。……正直、この埃っぽさに少しなれつつあるけど。



私はその場に大の字になると、ふと呑気に考えた。

会社が始まったら、誰か私がいないことに気づいてくれるかな。そしたら、ここまで誰かは助けに来てくれるかな。探しに来てくれるかな。

なんて、期待しすぎか。



…………と、自嘲したそんな時。


ーーーーーーゴロゴロドーーーーン


落雷の音が近くでして、私は思わず上体を起こした。

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