浮気 × 浮気
「雷…近くに落ちた…?」
ドキドキと心臓が恐怖に震えている。
窓から稲妻の光が見えて、一瞬だけ部屋が明るく照らされた。
「何でこんな目に…っ…」
とてつもない恐怖が私を覆い、乾いていたはずの涙がじわりじわりと混み上がってくる。
震える体を抱きしめるようにして私は力なく座り込んだ。
だれか、だれか助けて…………っ
声にならない叫び声を心の中で何度も祈ったその時だった。
稲妻の光ではない明かりが、部屋の中を窓から明るく照らしたのだ。
「懐中……でん、とう…?」
私は覚束無い足元で光が差し込んでいる窓の方へと近寄り、外の様子を確かめた。
そうすれば、顔までは見えないものの人影が確認できた。
今しか!今しか、助けを求めるチャンスはない…………っ!
そう思った私は必死になって窓を両手拳で叩いた。
強い雨音で聞こえないかもしれない。雷で聞こえないかもしれない。
そう思いながらも必死になって、叩きながら声もあげた。