浮気 × 浮気
Final
温もり
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ーーー「……り……さ……あか……ん!」
遠い意識の中で、何かを呼ぶ声がする。
それは一生懸命で、どこか震えていて。
寒さで震えていた体は何故か今は心地よい温もりで覆われてる。
つい安心してしまうような懐かしいジャスミンの香りが私を包み込んでいる。
重い瞼をなんとか押し上げ、目を薄く開く。
そうすれば、見覚えのある端正な顔立ちが私の狭い視界に入った。
「……かりさ……!あかりさん……っ」
鮮明になっていく視界と聴覚。
私はただただ信じられず、その現実に大きく目を開けた。
「きし、まさん…っ?」
震える唇でそう名前を呼べば、木嶋さんはホッとしたような表情を浮かべ、心の底から「よかった」と呟いた。