浮気 × 浮気
それに木嶋さんが驚いたような表情を浮かべる。
「まだ、寒いから……、抱きしめて欲しい」
熱に浮かされたのか、大胆な事を口走ってしまったことに発言した後に気づく。
私は咄嗟に手を引っ込めると、あまりの恥ずかしさに床に視線を落とした。
……けれど。
「……そういうの、ズルいよ」
耳もとで木嶋さんの甘い声が聞こえて、私は反射的に声の方へと顔を上げた。
その矢先。
「……んっ」
唇に柔らかくて暖かい感触が広がった。
それは啄むようなキスで、一瞬で唇を離されてしまう。
顔を離せば、お互いの熱い視線が交じりあって、ドクドクと心臓が大きく音を立てた。
「すいません。もう、明里さんとは距離を贈って決めてたのに」
そう小さく呟くように言った後、私から距離を取ろうとする木嶋さんの手を私は咄嗟に掴んだ。
「……明里、さん?」
木島さんの戸惑った瞳が私を捉える。