浮気 × 浮気
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会社に着くまで雪とはいつもと変わらない他愛ない話をした。さっきの違和感はまるで感じられないし、本当に自分の勘違いだった事に少しホッとする。
会社に着き、雪と一緒にいつものオフィスルームへ向かっている途中、唐突に後ろから名前を呼ばれて振り返った。
そうすれば、こちらに駆け寄ってくる課長の姿が目に入った。
雪と揃って挨拶をすると、課長は朗らかに笑った後、口を開いた。
「大園、山下、おはよう。ちょっと頼みたいことがあってだな」
「なんでしょう?」
頼られたりするのが好きな雪は、すかさずそう課長に尋ねる。
「今日新入社員が一人この部署に入って来るんだが、その教育係をお願いしたくてだな」
あぁ、そうか、もうそんな時期だもんな。
なんて思い、どこか他人事のように頷く。だって教育係は去年も一昨年もしたし、さすがに今年は私ではないだろうと思ったからだ。
雪もそう思っていたのだろう、私の横でウキウキした様子でいるのが伝わってくる。
雪はそういう人の世話焼くの好きだもんなぁ〜。
そう思い、課長と雪を残して先にオフィスルームへ行こうと挨拶をしようとした時……
「まぁ、今年もね、大園に任せたいんだよ」
「「え?」」
つい雪と声がハモる。