浮気 × 浮気
あまりの偶然に驚きながらも、半ば放心状態のまま暁さんに歓迎の拍手を送った。
その後、一斉に仕事を始める社員たちの中、私はただひとりだけ呆然としていた。
…………だって、私の知られたくないことを全て知っている人が職場に居ることになってしまったのだから。
と、次の瞬間、思い出したくない記憶が次々とフラッシュバックし、再び私の胸をぎゅっと締め付けた。
耳にこびりついているあの吐き気すら催す吐息が、鮮明に私の脳内で響く。
体の血の気が引き、手すら震え始めた。
だめだ…。一旦ここから出ないと。
皆にバレたら心配させてしまう。
そんな一心で、急いで椅子からたちあがったその瞬間、立ちくらみがして足がもつれた。
しまった……そう思ってももう遅い。
体は後ろに傾き、重力に抗うことなく倒れていく。まるで他人事のように思えるこの状況に、私はただ痛みから逃げるように目を瞑ることしか出来なかった。